金曜日から眠れていない。これは誇張表現だ。金曜日から月曜日に至るまでの間、0時頃に布団に入って、実際に就寝する時刻が4時~6時である。何故? こっちが聞きたい。
この原因には汚い部屋で身体を動かす努力をすることに倦み、ここのところ(数か月単位で)運動を全くしていないということもあろうし、労働をしているという状態に心のどこかで心底嫌気がさしている可能性はある(これまでも何回かあった)。
「眠れない」のは働き始めて始まったことではない。
しかしティーン時代の眠れない夜って、将来の不安と死の恐怖で泣き暮らしていた覚えがあるが、今は涙も出ないで、ただ天井を見つめている。(8/18 明け方のGmail下書き)
私の不眠ルーチンは以下の通りです。
1時~4時 諦めて別のことをする時間
4時~6時 眠れないことを身体に詫びる時間
4時頃の朝日を見るといよいよ絶望的な気分になるので見ないようにしていたが、始発電車の発車音とやかましい雀の囀りで試みの失敗を知った。
入眠方法をレクチャーする情報はTwitter(現X)等にもあふれかえっている。
例えば米軍なのか海兵隊なのかが実践しているらしい「自由連想法」というものがよく目に入る、気がする。クレヨンしんちゃんでみさえがやっていた気がする。
私はこの手の自由連想をすると自我が必ず「死」に向かい、自我の喪失への恐怖でビンビンに目が覚めるのでこの手の連想はしないようにしている。
これまで一定の確率で成功していた私の入眠法は以下です。
1,毛布を被る――吸う息の二酸化炭素濃度を上げることでまず意識にぼんやりとしてもらう
2、数を数える――どうせ何を考えても死につながり恐怖コンボが始まるため、そこに向かう隙を作らない。
ただしこうして努力している内に眠気が遠ざかってしまうと、数を数える傍ら脳が勝手に連想ゲームを始め、死の恐怖が始まる。
そして迎える絶望の朝。
迂闊に朝日を見ると「今日と言う一日を無駄にした」という絶望*1、そして日頃酷使しているにも関わらずロクに休めてやれなかった目への申し訳なさから、希死念慮がわっと押し寄せる。そして死への恐怖がセットで大脳に入場、泣くことでせめてなけなしの体力を消費して見ようと試みると、怒りの男泣きになる。交感神経!!!!!!!!!!!交感神経!!!!!!!!!!!!交感神経!!!!!!!!!!!!!!!!ひきつけを起こしたような呼吸を毛布に包まりながら繰り返す。助けてくれ。何から? 他に助かる宛てがあるならとっくにどうにかしている、と思う。助かることがわかるのは助かり方がわかっている人間だけではないか。助かり方もわからないのに漠然と助けを求めている。入眠に失敗し続けている。
なので月曜日は朝5時ぐらいになってから入眠を諦めて、ウェルベックの新作を読み始めました。
土日の不眠後悔時間(明け方)で(上)を読み始めており、月の不眠諦め時間(1~3時)の時点で(上)の残りを読み終え、(下)の半分程まで読み進めていた。5時に一通り暴れてから、諦めて読み始めて7時頃に読み終わった。
かつて『セロトニン』についてブログ記事をした時に「句読点でつなぎまくった稀代の悪文*2が流通路にガッツリ載ってるのを見ると非常に励まされる」というようなことを述べましたが、今回の『滅ぼす』は、書いてあることは時々突飛*3ながら、文章としてはかなり読みやすいです。一文の中で時系列が入り組むこととか、ない。
逆にウェルベック作品で『セロトニン』みたいな稀代悪文例は、私が触れた中では『セロトニン』にしかないような気がする。『セロトニン』はあのぐっちゃぐちゃしっちゃかめっちゃか文章でこそ立ち現れる物語であり、それ以外はそうではない(むしろきわめて読みやすい)のではないですか? 2022年の著作が2023年に翻訳されてくるベストセラー作家はやっぱり違う! フランス語でどうなっているのかは存じませんが。
あらすじ
インターネットを介した謎の国際テロが多発する中、経済大臣ブリュノと秘書官ポールはテレビタレントを擁立し2027年フランス大統領選を争うことになる。一方で諜報機関で重役を勤めた父の脳卒中を切欠に、10年間完全に冷え切っていたポールの夫婦生活を始め、ポールの弟妹らの生活は徐々に変化していくが……
以下ストーリーの核心部分のネタバレを含みます。
*1:徹夜で行動できないので徹夜明けは一日を通して半死半生になる、何なら15時ぐらいまで眠っている。
*2:大学で論文指導を受けていた際に教授から「教授の恩師」の例に仮託しつつ頂いたお言葉
*3:その日見た夢の話をいきなり突っ込んでくる