tanpa

社会人ちゃんの日記

水中って思ったより揺れない(「劇場版名探偵コナン 黒鉄の魚影」(2022))

今季の名探偵コナン映画を4DXで観ました。(日記)

 

※以下上映中映画のネタバレを含みます。 

※キャラクター妄想をするタイプのオタクによる感想なので注意をしてください。

 

www.conan-movie.jp

 

 

 

思ったより揺れなかったので、4DXで観なくても良かったかなという感想がある

私が初めて4DXで見に行った劇場版コナン(緋色の弾丸)が、後半のリニモ大脱線シーンで「地震か⁉」ってレベルに揺れたので、いつまでもそれを引き摺っている(最初の相手を忘れられない現象)。

前作(ハロウィンの花嫁)でも、「このままコーラをぶちまけることになるんじゃないか」という不安を覚え、飲み物に手を掛けて必死に抑える程度には縦揺れした覚えがある*1

 

一方で今回、序盤の「俺の名前は工藤新一」という自己紹介の尺でケツを小突かれ続けるのは相変わらずですが、魚雷命中による大規模な爆発が水中で起こったということもあってか、「緋色の弾丸」でのリニモ脱線時の、「吹き飛ばされて思いっきり空中に投げ出される」ような強烈な横揺れ比肩する動作はほぼなかった。時々霧吹きでプシュップシュッと水を掛けられる程度。

八丈島のオフロードを走るシーン等でも、正直そんなに揺れた覚えがない。今回の映画、4DXでの揺れを低減するような配慮が入ったのでしょうか?

 

話としては面白かった(減点ポイントがない)

一緒に今作を鑑賞してくれたお友達が、「コナンの面白いところ詰め込みました!って感じだった」と仰ってて、その通りだなと思った。

直近のコナン映画、「境子側の正義に関する背景推理削ってない?(ゼロの執行人)」「2000年代の「ぱっと見しょーもない親父」を体現しているところの毛利小五郎の振る舞いを下手に現代化するから、謝りながら殴るDV親父みたいになってて許せない。毛利小五郎の顔したキメラやめろ(緋色の弾丸)」というような強烈減点ポイントがあった一方、今回の映画では、脚本側の都合を感じるような引っかかりを感じるところがなく、かなり素直に面白かった。

成人してから見ると、江戸川コナン(6)どころか工藤新一(高校生)に現場検証をさせるべきじゃないだろという引っかかりはありつつ、それはそもそも名探偵コナンという作品の骨子(「子供の姿」であるからおおっぴらには動けないが、こそこそ忍び隠れつつ時に子供の姿を利用して「子供」が活躍するという趣旨の作品)なので、そこでやいやいいうのは野暮というものでしょう。

蘭姉ちゃんが哀ちゃん拉致を予期して上階からジープに向かって突っ込んでくるのは正直肝を抜かれましたし、大立ち回りをしているシーンではベルモットなり安室さんなり「誰かの変装か……!?」とも思いましたが、劇場版コナンにおいて第六感で危機を察知することは別段珍しくないですし、毛利蘭なら「第六感で子供の危機を察したので様子を伺ったら誘拐現場を目視、後先考えずに突っ込んだ」をやると思うので別段違和感はないです。この世界、高校生の空手が体術としてべらぼうに強すぎませんか?というのはありつつ、そこはもうそういう世界なので……と呑み込める演出ではある。

毛利小五郎がずっと酒飲んでるのも「そもそも漫画でもそのように振舞うキャラクター(探偵事務所でビール缶を積み上げている)」なので、「この手の父親って2020年代の劇場場では喋らせづらいから処理してるのかな」*2という感じもそこまでなかった。

強いて言えば、毛利小五郎にはホテルのバーとかでべろべろになってほしかった*3んですが、そこは新型コロナウイルスへの配慮リスクを取ったのかもしれません*4。引っかかる程でもないといったところ。

 

黒の組織

今季個人的に良かったのはジンの兄貴!!!!!!!!!!!!!!!!です。

銀幕に写った瞬間、兄貴が大画面での喫煙をブチかましてくれていて本当に良かったなと思った。

子供向け(とされるであろうジャンルの)映画でどこまでがOKでどこからがNGなのか私は存じ上げないんですけれども、流石にキャラクターを象徴するアイテムとして結び付けられているものはOKということなんでしょうか? そしてジンの兄貴というキャラクターを象徴するもう一つの符号も健在。ヘリから潜水艦に降りるときに舞い上がる長髪。もしも本作を子供たちが見ていたら、そのキャラデザは一定数の子供たちの中で、性癖を形作るものになるのではないかと思います。

 

今季のウォッカの兄貴も良かった。

推定子供向け作品(と思われる)の大画面で映し出せる程度に「拷問」をしていてよかった。拷問を「お楽しみ」と言い換えるのも、悪組織らしさがあって素晴らしいと思いました。あのシーン、精神的拷問を受ける側の女性の悲鳴も真に迫っていてよかったな。

それにしても、今回銃で狙われましたあの議員(父親)、娘の生み出した老若認証アプリを活用する場を用意するために今回の場(パシフィックブイにユーロポール管内の監視カメラデータを接続?)を作ったとすると、その、かなり強権を振るっていないか? というのは若干ある。

というか、ヨーロッパって個人情報保護のメッカみたいなところですけれども、監視カメラのアクセス権限って、そんな簡単に一極集中するものだろうか? でも今回、「FBIとの連携」じゃ話が成り立たなかったのかな。というか、あくまであれって「作品世界」の話なので、あの強烈な凶悪事件発生率を前に、あの作品世界中のEUでは個人情報保護よりも治安維持がより優先される説は十分理解できるので、そこまで引っかかるポイントと言う訳ではなく、単純に私の趣味の問題なんですけれども。

 

趣味に話が流れたところで黒の組織の面々が良かったなというところに戻りたいと思います。

 

ピンガ←今作の性担当でしょうか? 

女性に扮していたところ変装マスクを破ってあのゴリゴリが登場するところ、オタクは癖です。子供たちの心にも残るものがあったのではないでしょうか。いいじゃんゴリゴリのチンピラが出てくるの……。

老若認証がベルモットのいっそ清々しい利敵行為によって組織中の価値を失ったとはいえ、その工作は「お前工藤新一だろ」の時点で彼らにはそれが伝わっていませんし、コナン=新一であるという情報を得てしまったあのキャラクターは本作限りで退場するだろうな……と観ながら予想はできていたところなんですが、最後の瞬間の笑顔でオタクは結構ぐっと来たというか、ぎょっとしてしまったところがある。爆発の瞬間で、彼は何故笑ったんでしょうか? 最後の笑顔が性過ぎる いい加減にしてくれ。いや、いい加減にするのはオタク(一人称)なんですけれども……。

 

なお、「江戸川コナン=工藤新一」はオタクの間では公然の秘密とはいえ、作品世界では話を終局へ向かわせるパンドラの箱みたいなものなので、そこに手を掛けてしまったピンガは普通に死亡として処理されるのではないか*5と思いますが、一方で確実に「死体が上がった」という描写がないんですよね。

組織上での立場も微妙なので黒の組織側として出ることはないんでしょうけれども、ワンチャン生きてたりするんでしょうか。いや、生きてても活かしどころがあんまなさそうなので、作品中の正史としては「死亡」扱いが妥当なんじゃないかなと思います。「またお前か!」とキレてんだか呆れてんだかしながら蘭姉ちゃんと組み合ってるシーンはオタク、かなり好きでした。あのポップというかレゲエみたいな感じの髪型と、特段事件を起こすにあたっての因縁はなくシンプルに「なり上がりたい」という単純な性質で動くところが、やってることのわりにビジネスライクでコミカルな感じで良かった。

今気付いたんですけど、黒の組織回は犯人役に悪を成すことに理由や懺悔シーンがないので、テンポが良くて個人的に好印象になるのかもしれません。犯人の自供も作品の一つの要素ではある一方、「お前それでそんな大がかりなことしたの?(呆れ)」になってしまう場面も正直あるので……*6

 

電話をスルーされる安室さん

私はamcの二次を書いたことがあるオタクですが、ここがやはり非常に良かった。

実際コナンくんがその辺りをどこまで意識しているのかは、にわかオタクにはわからないんですけど、彼は直感的に「(「この二人への連絡」コマンドが行動の選択肢にある場合は)まず赤井さんに連絡する」という動作がコナン君の中で沁みついていませんか? 

というのも、安室さん=降谷さんが「守りたいもの」は国家の安寧であり無辜の人々の無数の生活なので、コナン君=新一が最も優先させる/彼にとっての聖域であろう「自分の身の周りの人々の安寧」を犠牲にすれば無辜の人々の安寧が守られるとわかった時、安室さんは間違いなく「そうする」タイプの人間だという確率は結構高いと思われるからです*7

彼から「有用」と認められることは、この人が守りたいと思う国家の安全・無辜の人々の生活の安寧という、不定形で際限のない途方もない労務に向かって搾取される危険性と隣り合わせでもあるということは言えるのではないかとにわかオタク*8は思っている。彼自身は自分が優先する家族や自分の身の周りの人々を既に亡くしており、それがなくても生きていけることを知っているというのもきつい。

 

とはいえ、実際コナン君がそういうリスクヘッジをしているかというと無論そんなことはなく、彼が実際に意識して考えていそうなこととすると、彼は赤井さんのことをより無意識に信用しているというより、今回の赤井さんは「スナイパー」として使い勝手がいいから連絡している(安室さんの役回りは基本的に諜報部員のため、連絡があれば聞く程度)んだと思います。

安室さんに対して「あの人ちょっとヤバいよ」と思ってるのはあくまでの成人したオタクの目線だからそう思えてしまうだけで、コナン君の視点からしたら、「別に盗聴されていようが結局解決につながるんなら(俺が盗聴されている分なら)良くね」ぐらいの考えであってほしい。そうだと思います。流石に蘭姉ちゃんが盗聴されてたら怒ると思う。こういうちょっとトボけてるけど真直ぐなバランス感覚であってほしい。

 

「バイバイだね、江戸川コナンくん」

 

 

ツイッターで見かけたこのアカウントの方の、「狂ったようにキャラクターを会話させることで己の魂の救済を図っていた」という趣旨と思われる独白は自分の行動原理にも当てはまるところがあるので、この方のことをよく覚えていたのですが、今作の後半見ていてこの人本当にすごい 心拍数ヤバかっただろうなと思いながら見ていた。見たかったものが、今ここ、全てに詰まっていませんでしたか? 

 

彼女がキスを「返す」ところが個人的にはめちゃめちゃ好きだなと思いました。

名探偵コナンの作中世界って恋愛結婚至上主義異性愛規範がゴリゴリの社会なんじゃないかなと私は思っていますし、キスを「返す」動作がああも自然だったのはある意味「(恋愛対象として)全く意識をしていないこと」の裏返しでもあるのではないかとも思いはする一方、灰原哀の持つ傷が「姉を喪った孤独」であることもあって、彼女、「彼女を守ろう/庇おうとする年上の女」属性にめちゃめちゃ弱くないか? というのはちょっと思っている。灰原さん、シンプルに「面倒見のいい年上の女」が好みなのでは? 

 

これはにわかオタクの例えばの話ですが、彼女の好みとしてはその「年上の女」がありつつ、コナン君がめちゃめちゃカッコいいのでタイプには当てはまらないけど好きというのもわかる。

私も職場にコナン君いてほしいです。それで、どうしようもない状態に陥ったと思われる時に「気にするな」「俺が全部なんとかしてやっから」って言って欲しい 助けてくれ! 小学生に頼ろうとするな。新一だって高校生なんだぞ。なので、私は自分でエクセルに言ってやるんです「大丈夫だ」「俺が全部なんとかしてやるから……」

 

思っていたよりだいぶ楽しかったんだな……(感想)

今作、「思ったより揺れなかったな……」というのが個人的な最初の感想としてあり、「減点するところがないという意味で話としては面白かった」という書きぶりからして、あんまり積極的に「ここが良かった!」という刺傷ポイントのない作品だったかなという印象を持っていたんですけど、記事にしてたら結構、あの話のことを楽しんでいたことに気付けて良かったなと思いました。日記ブログ、おすすめです! 自分の脳と向き合おう

 

 

*1:しかしこの回は「スクランブル交差点に向かって爆薬が流れていく描写が出た時点からずっとオシッコ漏れそうだった」という状態での鑑賞だったので、印象として一番強く残っているのは尿意。

*2:「ハロウィンの花嫁」での交通事故退場も正直「処理っぽいな」と思わなくはないものの、「子供を庇って事故る」というのは毛利小五郎「らしさ」のある描写ではあると思うので、個人的には良い処理の仕方かなと思っています。

*3:今作で毛利小五郎がへべれけになっているのはホテルの客室内。周囲に空き缶が転がっているため、(ホテルの客室に戻る前にバーで飲んでいた説も否定できないが、)恐らく一人で自室で飲んでいたと思われる

*4:とはいえ劇場版コナン世界には新型コロナウイルス感染症の流行という描写は(記憶の限りでは)ありませんし、ここだけ「配慮」するというのも筋の違う、おかしな話ですので、他の都合があるのか或いは尺の都合だと考える方が自然ではないか? とも思います。

*5:潜水艦自爆時にあの距離にいたらまず助からないでしょうし

*6:「業火の向日葵」

*7:コナン世界でそこまでシビアな選択の話がされることはないと思いますが、「ゼロの執行人」で安室さんは「江戸川コナンに本気を出させるため」、「毛利小五郎を容疑者として取り調べることで巻き込む」という手を打っている

*8:劇場版コナン映画のいくつかと、漫画の緋色シリーズ辺りまでを読んだことがある程度