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社会人ちゃんの日記

知らん観客の悲鳴を聞こう(「THE FIRST SLAM DUNK」(2022)を見た(2回目))

tan8.hatenadiary.jp

 


最近スラムダンクの映画を見て漫画を全巻読んだんですけど、そしたら、スラムダンクの映画を勧めてくれたお友達がまた映画に誘ってくれたので、「THE FIRST SLAM DUNK」をまた見てきた。

私は2回目、お友達はこれで6回目になるらしい。なんか増えてない? あなたちょっと前に私と一緒に映画見に行った時には、「私これで2回目なんだ」って言ってなかった? 

 

以下上映中映画のネタバレを含みます。

 

 


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今度は池袋で映画を見たんですけど、

「池袋TOHOシネマズで集合」ということになったので「ハイハイ池袋のTOHOシネマズね」と思って、私は「池袋 TOHO 映画館」でネット検索して一番上に出てきたところに向かったんですね。アニメイト裏にある大型商業施設5階に入っている映画館。

なんですけど、なんか、違った。それTOHOじゃなくて、グランドシネマサンシャインっていうんだって。何?

 

映画館を間違えるというミスを犯しましたが、そもそも集合時間が小一時間前に設定されていたので事なきを得た。これはこれでそんなことってある?

皆様方ポストコロナも板についてこられたらしく池袋の映画館はかなり混んでおり、飲み物を買う列にも長蛇(注文まで20分弱)かかりましたけれども、ゆうて全然、余裕でシアターに入れた。第六感が働いているような完璧な集合時間指定。私のお友達、能力者かもしれない。

 


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漫画を全巻読んだ直後の上の二回目視聴なので、多少惰性で見るところも出ましょうねと思って臨んだんですけれども、

 

全然そういう事はなかった。

 

2時間4分、全力で試合を観戦することになる。

 

漫画を読んで下手に背景知識を得ている分、かえって得られる情報が増えていることに驚いた。

 

漫画を通しで読んで、改めてソーちゃんが「無」から生えてきたお兄ちゃんであることに驚き*1、やはりソーちゃんと重ねるように登場したキャラクターであることには違いないだろうと、二度目の視聴にしてオタクも確信を深めたところの三井寿が、ああも見事にグレてる様にお前、そんなことってないだろと、リョータの目線からの遣る瀬なさを感じる。

そのシーンの直後、屋上で三井グループにボコされたリョータが仰向けでぶっ倒れていると雪が降ってきて、それを見た彼が「なんだこれ」「ゴミみたいだ」も独りごちる場面がありますが、作中の描写によると彼が沖縄出身であり、三井グループにボコされている時点で湘北高校一年生*2ということを考慮しますと、もしかしてあれが、彼にとって初めて見た雪、なのでは……!? ということを考えオタクは、勝手に激アツになっている。

 

激アツになる他にも、視聴した感想というものも漫画を読む前(1回目)と読んだ後(2回目)だと変わってきていて、初回にスーッと入ってきたカッコいいことを言う沢北を見ると、なんか、川田にプロレス技を掛けられている「後輩」としての彼の姿を思い出してなんかほのぼのとしてしまいますし、

ラストのバスケットコート上で見える沢北と宮城のシーンも、映画の内容を見れば違和感なく「そう」ですし、彼らがタメ(同級生)であることは作中でも描かれていますのでまあそういうことなんでしょうねと思うんですけど、あの山王戦で沢北と主にバトった相手って、流川では……(そして宮城と主だってマッチアップしたのは深瀬では)というのもわかる。

これは初回鑑賞時に一緒に映画を見た2回目の友達が零していた言葉で、私は今になってその意味を理解した。

なお、今回6回目のスラムダンク映画を鑑賞した彼女によると、6回目にして初めて山王側のベンチに沢北のパパがいることに気が付いたらしいです。マジで?

 

 

声が出る映画(?)

今回は先に述べた通り池袋で通常視聴したんですけど、花道がボールを追って来賓席(?)に突っ込むシーンで、「危ない……!!」とささやかな悲鳴が観客席、もとい別の客の口から上がった。

これも内容に即した試合の感想だもんで、大して気にならないんですけど、それにしても今のところ、応援上映の映画館で映画スラムダンクを見て2回中2回、他人の魂のうめき声を聞いている。

 

そもそも私は映画館にはそんなに行かない方なんですけど、これまでにこんなに客が悲鳴を上げてる場面って、ちょっと記憶にない。

場面が暗転するたびに音高くポップコーンを頬張る奴がいた回(名探偵コナンゼロの執行人)、常軌を逸したイチャつきをするカップルがいる回(カップルが頭に残り過ぎて見た映画のタイトルを忘れた)、横で感極まったらしいオタクが隠しきれない啜り泣きを始めた回(劇場版 弱虫ペダル)、エンドロールでケータイ開き始めた奴がいた回(ONE PIECE FILM RED)というのはあったが、みんなそれぞれ違うタイトルで、一回ずつ出くわしている。

同じ映画を連続して見に行く回というのも、そもそもなかなかないんですけど、同じ映画を連続して見て、連続して他人の叫びを聞くことはなかった。

 

「THE FIRST SLAM DUNK」、声が出る映画なのかもしれません、あれは。

映画を見るというより試合の観客になるという側面が結構あるので、手に汗握り息を呑むついでに、思わず声がまろび出る意識の動きは理解できる。

 

あんまり関係ないんですけど声というと、この映画の桜木花道の声が個人的にはものすごいしっくりくるし、どことなく聞き覚えのある声なんだけど私は昔のスラムダンクのアニメ見たことないし、昔のアニメとは声が変わってるって聞いたんだよなと思いながらエンドロールを見ていたところ、ジャイアンの人だった。納得しました。

 

ついでにこれも、あんま関係なく、「声って音の一種だよね」という雑な連想なんですけど、

今回はちょっと音がいいプレミアシアターで映画を見た。

するとこう、この映画で随所に用いられるアップ系のBGMや、ボールをバンバン床に叩きつけてドリブルする音が心臓に響いて、「心臓バクバクでも平気なフリをする」という言葉が、その度に過りました。音がいいシアターで見る映画は楽しい。大人1席2100円します。

 

2100円する音が良いシアターだったためか普通に二度目の視聴だったからというのもあってか、今回はエンディングテーマの歌詞をリスニングする余裕もあった*3んですけど、エンディングテーマの歌詞の中で「それが最後になる気がしたんだ」というの、リョータの持つひとつのトラウマを擦っている歌詞だったりするんでしょうか⁉ というところで、オタクは最後の最後にまたブチ上がった。

 

中高生といった年齢のキャラクターをやり玉にあげる「青春もの」のカテゴリって、傍目から見ると「一瞬」と称される若さが永遠に続くように拙く振舞う子供キャラクターを見ることで、こう、やきもきしたり若返った気分になるといった、一種のセラピーだと私は思っているところがある*4のですが、

映画本編中で扱われる話であれば、兄の突然の失踪/死。漫画にも描かれている話であれば、桜木花道の選手生命に関わる故障。そもそもこの対戦が本編で描かれる最終戦であることを感じるにつけ、凄いしっくりくる歌詞だな。オタク(一人称)は、これが好きだ……

 

 

 

映画本編とはあんま関係ないんですけど、漫画山王戦最終局面で負傷後の桜木花道が、走馬灯めいた回想の中に現れた晴子さんが問う『バスケットはお好きですか?』に対して「大好きです 今度は嘘じゃなくて」と答えるシーンがオタク(一人称)は非常に好き。冒頭の問いかけが最終局面で繰り返される構図が好きなので当然と言えば当然。そういうシーンがそもそも好き。あの言葉が作品の総決算のように描かれているように感じられて好きなんですね。「バスケットはお好きですか?」に始まり、「大好きです」で結ばれるというか。

でも、映画であのシーンがないのは納得ですし、むしろない方が良いとも思う。あのストーリーだと、「大好きです」はノイズになる。漫画を読んだ後の視聴だと色々省かれているシーンにも気付けるので、あのセリフだけでなく、様々な場面の省き方が上手いなという感想も持ちました。

オタク(一人称)は「大好きです」が凄い好きなんですけど、あれは漫画の1巻から巻数を重ね、諸々を順々に読んだ後に配置されることで、真に美しくなるセリフだなと思っている。それにしてもあのセリフが凄い好きなんですよね、桜木の友達が(告白したのかと思った)と慌てているのも良い。私も慌てましたよあれ。桜木花道の「大好きです」を見て悲鳴を上げる度に、もう一回最初から読むか、スラムダンク……。

 

 

*1:「連載中も設定はあったけど、漫画のストーリーでは使われなかった」という可能性はある。パンフレットに書いてあったら申し訳ない。

*2:気候が温暖であんまり降雪をしない三浦半島に位置しているものと思われる

*3:大抵は空耳アワーになる

*4:特に日常を描いた青春映画に対する分厚い偏見だ