テレビを見ながらTwitterを眺めて年を超すと、日付が変わった途端「あけましておめでとうございます」の文字が怒涛のように流れ込んでくる。
年が変わった。
つまり、年末に入って一旦棚上げされたカス業務マーチが再開されることを思い出して、今すぐに全部をなかったことにする選択肢が浮かび始める。祝うどころのコンディションではない。
「あけまして」も「おめでとう」も出てこないメンタルのコンディションで、他人様からの「あけましておめでとうございます」と、ちょっと気の利いた往々にしてテンションの高い挨拶を眺め、眺め、皆が自分の知らない宿題について喋り始めた休み明けの朝のホームルームみたいな気持ちを抱える。
それにしたって、今から算数ドリルをすべて途中式も書いて提出ってわけじゃないんだから、何とかツイートをひねり出して、ツイッターアカウントを見守ってくれている何人かの存在への義理を果たしたいという思いを胸に脳を動かそうとしますが、一方で脳の方は、「一体誰が“月曜日おめでとう”と言いますか?」と白け顔をしている。
やがて月曜が来るという日曜夜の憂鬱を「サザエさん症候群」と言い習わすのが、果たして世間一般なのかオタクの間での風習なのかわかりませんが、頭があの種の焦燥と憂鬱にどっぷりと使って、スポンジのように不安を吸い込んでいる。
0時5分 テレビを消してSNSからログアウトをし、定価2200円のところ3300円で買った総柄パンダふわふわパジャマ上下に着替えて埃を吸った布団に丸まり、息を潜める。
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昔はこんなんじゃなかった
新しい年になれば、何か「新しい自分」になったようで、オチもないし公開もしない紙の日記帳に、下手な字をビッチリ並べて抱負を綴ったりしたものだ。そして、往々にして三が日で飽きた。
金がなければ生きていけない。金を稼ぐには労働をしなければいけない。
私が獲得した労働というのが、今のカス業務マーチだ。
望むような労働の形態は存在しない。そもそも働きたくないからだ。妥協して労働している。
仕事があり生活ができる程度に給金をいただいていて、幸せだと思っている。
今すぐ仕事を辞めて、貯金が尽きたら否応なく死ぬのとどっちがいいかなということを頻繁に天秤にかける。
このカス業務であれ他の形の労働であれ、労働をしなければどうせ生きては行かれないと思うと、この先に夢も希望もクソも何もない。
「ここまで来たらもう何もしなくて良い」という墨が入る分、年末のほうがよほど心穏やかだった。
ここから一年身を粉にして弊社に悪名を轟かせて参りますし、「自作二次によって他人を洗脳したい」という当初の願望に反して、自分で自分の足を食うみたいなやり方で二次創作をして、ある意味で腫れ物の悪名を轟かせているのかもしれないし、ここで“悪名を轟く”という語感を使いたいだけで、単純に、自分だけがひたすら読み返している何かを延々と続けるのかもしれないし、今年こそその有り様から足抜けできるのかもしれない。
自分は自分の二次が好きなので、それはそれで私にとって不幸なことだなと思う。続けても不幸で辞めても不幸。二次創作においてはROM専でいることがきっと一番の幸せです。
ちょうど今私は集合住宅に住んでいて、上の階からゴロゴロと何か動かしているような音が轟いてきている。0時30分。除夜の鐘の時間はとっくに終わったろうに、寺の方から鐘の音が聞こえる。家の前の道からいつになく理性を保ち意味のある会話をする他人の物音がする(普段は酔っ払いが歩いている)。初詣にでも行くのだろうか? 新年の物音がする。布団を頭まで被る。
毎日の怠惰の積み重ねがあり、結局布団でさっき閉じた筈のツイッターを開いている。
毎日勝手に存在を眺めているアカウントがいくつか、ハレの日の生活を楽しんでいる旨のツイートを投稿しているのを見て和んでいる。
ハムスターを飼育していたときと、まるで同じ心の動きをしている。ケージを覗いてそこにいると安心するし、うんこを口で飛ばしたり毛づくろいしたり、餌を貪っていたり、何にせよ穏やかに暮らしていることがわかると安心する。
「ちょっと聞きたいんだけど、自分の将来のことを考えてる?」
その問いは宙吊りのままに終わった。相手は何を答えていいかわからなかったから。
(クラリッセ・リスペクトル著、福嶋伸洋訳『星の時』河出書房新社、p.125より)
毎日、一営業日一営業日を懸命にやり過ごす日々を送り続けて、新しい年になって「一年の計がどうの」と言われても、やりたいことが思いつかなくなってしまった(元々計画性がないのはある)。
いつか仕事をやめて残金で暮らしていく余生になった時のため、今の内からやることをリストアップしたほうがいいと思う。漠然と旅行がしたいとか言いますけど、内訳のことを何も考えていないから。2023年の目標は欲望の把握、余生に向けてのスケジュール管理をしていきたいですね。
2022年は日記の見守りをいただきありがとうございました。よかったら今年もよろしくおねがいします。
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特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」